学生時代のバイト仲間が沖縄にやってきた。
空港ロビーを出てきた彼は、あの頃とちっとも変わってなくて
ワタシもまた変わっていないと言う。
いっぺんであの頃に戻り、だれだれはどうしてるー?とか
チーフは?Kは横浜にいるよ。Mちゃんは結婚して・・などなど話は尽きない。
で、やっぱりこの話になる。
当時のバイト先のこと。今はなき裏原宿の洋食屋 東洋軒。
オムライスやコロッケといった定番洋食メニューのどれもが美味しくて
「こんなお店でバイトしたい!」と口走った瞬間、「それじゃ、いつから来る?」と
履歴書も出していなければ、名前さえ言っていないというのに、採用が決まっていた。
それまでバイトしていた外苑のフレンチレストランとは何もかもが違った。
まずは、間違っても、遅刻しても、ドタキャンしても怒らないチーフ。
すぐに逆上する父を持つワタシだから、怒らない大人というのが新鮮だった。
ランチタイムを過ぎてお店が暇になると、課題のデッサンを仕上げたり、
エプロンをしたまま表参道あたりまで散歩するのもOKだった。
それでもお店に愛着が湧くと、自ら食器棚のガラスを磨いたり
グラスを洗うついでにシンクを磨いたり、割とみんながそうしていた。
それになんといってもメニューのどれもが抜群に美味しかったから
「どれが美味しいですか?」なんて聞かれると、自信を持って勧められた。
茹でたジャガイモを潰して作ったコロッケの甘味、
野菜嫌いな人をも唸らせたサラダのドレッシング、
焼き付けたキャベツが香ばしいロールキャベツ、
今ではワタシの定番料理になっている。
お皿の柄や、換気の悪い厨房、古いレジの音、柱の感触までをも
くっきりと思い出すことが出来る。
残念ながら、渋谷に移転した後、お店を閉めたのだけれど
実は友人と二人、密かに東洋軒の復活を企んでいる。。。
今はまだまだ具体的ではないけど、いつかまた東洋軒が出来て
当時のお客さんやバイト仲間が食べに来てくれたら嬉しいだろうなぁ。
遠い日の夢。
だけどイメージはくっきりと描くことが出来る。
それにしても、「emiちゃん タバコやめたの?」と聞かれたとき
自分がタバコを吸っていたことさえ忘れていたことに気づいて笑ってしまった。
6年は長いんだなぁ。